誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになります!
心のキャパを広げる方法
今日は「心のキャパシティを広げる方法」についてお話ししようと思います。
ちょっと手前味噌ではありますが、アテクシはよく「包容力がある」とか「心が広い」なんて言っていただけることがあります。
自分では特に意識しているわけではないのですが、たしかにそう言われることが多いです。
他人に怒りの感情が湧きにくい
では、なぜそう言われることが多いのかと考えてみると、あまり他人に対して怒りの感情が湧かないし、イライラすることも少ないからなのかもしれません。
もちろん、まったく怒らないわけではありません。仕事で譲れない部分があったりすると、相手に怒りの感情が湧くことはあります。
でも、少し変わった言動をする人とか、他人をイライラさせるような言動をする人に対しては、あまり腹が立たないんですよね。
なぜ怒りの感情が湧かないのか?
それはなぜかというと、普段から「人を観察する」というスタンスを持っているからだと思います。
精神科医という職業柄もあってか、他人を観察の対象として見るクセがついているのです。
何か妙な言動をとる人がいると、「ああ、こういう人もいるんだな」「こんな行動をする人もいるのか」と冷静に観察する自分がいます。
少し距離を置いて他人を見る
ある意味では、他人に過剰な期待をせず、突き放して見ている部分があるのかもしれませんが、そのぶん感情が揺さぶられることが少なくなります。
そうやって少し距離を置いて他人を見ると、イライラすることが減り、結果として心の余裕が生まれるんですね。
もし、自分の感情に基づいてすべての出来事を判断していたら、世の中にはイライラしたり許せないことが山ほどあるでしょう。
まるでアリを観察するように
でも、自分を含めた世界全体を、少し俯瞰して第三者の視点で眺めるようにすると、不思議と心が穏やかになるものなのです。
変わった行動をしている人を見たときに、「アリを観察している」くらいに思ってみるといいかもしれません。
「このアリはなんだか自己中心的だな」とか「あのアリは他のアリといがみ合っているな」などと観察してみると、怒りやイライラが湧いてくることはほとんどありません。
心のキャパを広げる視点
もちろん、親しい人や深く関わりのある人に対しては、また別の向き合い方が必要になると思いますが、それ以外の人や状況に対しては、あまり感情的に入り込みすぎず、冷静に観察するスタンスを持つのがいいと思います。
それによって、必要もないのに心を乱されることが少なくなるはずです。
心のキャパシティを広げたいと思ったら、ぜひ「第三者の視点」を意識してみてください。それだけでも、驚くほど気持ちが楽になることがありますよ。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。