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【精神科医が教える】職場にイラつく人がいたら…心のキャパを広げる方法・ベスト1Photo: Adobe Stock

心のキャパを広げる方法

今日は「心のキャパシティを広げる方法」についてお話ししようと思います。

ちょっと手前味噌ではありますが、アテクシはよく「包容力がある」とか「心が広い」なんて言っていただけることがあります。

自分では特に意識しているわけではないのですが、たしかにそう言われることが多いです。

他人に怒りの感情が湧きにくい

では、なぜそう言われることが多いのかと考えてみると、あまり他人に対して怒りの感情が湧かないし、イライラすることも少ないからなのかもしれません。 

もちろん、まったく怒らないわけではありません。仕事で譲れない部分があったりすると、相手に怒りの感情が湧くことはあります。

でも、少し変わった言動をする人とか、他人をイライラさせるような言動をする人に対しては、あまり腹が立たないんですよね。

なぜ怒りの感情が湧かないのか?

それはなぜかというと、普段から「人を観察する」というスタンスを持っているからだと思います。

精神科医という職業柄もあってか、他人を観察の対象として見るクセがついているのです。

何か妙な言動をとる人がいると、「ああ、こういう人もいるんだな」「こんな行動をする人もいるのか」と冷静に観察する自分がいます。

少し距離を置いて他人を見る

ある意味では、他人に過剰な期待をせず、突き放して見ている部分があるのかもしれませんが、そのぶん感情が揺さぶられることが少なくなります。

そうやって少し距離を置いて他人を見ると、イライラすることが減り、結果として心の余裕が生まれるんですね。

もし、自分の感情に基づいてすべての出来事を判断していたら、世の中にはイライラしたり許せないことが山ほどあるでしょう。

まるでアリを観察するように

でも、自分を含めた世界全体を、少し俯瞰して第三者の視点で眺めるようにすると、不思議と心が穏やかになるものなのです。

変わった行動をしている人を見たときに、「アリを観察している」くらいに思ってみるといいかもしれません。

「このアリはなんだか自己中心的だな」とか「あのアリは他のアリといがみ合っているな」などと観察してみると、怒りやイライラが湧いてくることはほとんどありません。

心のキャパを広げる視点

もちろん、親しい人や深く関わりのある人に対しては、また別の向き合い方が必要になると思いますが、それ以外の人や状況に対しては、あまり感情的に入り込みすぎず、冷静に観察するスタンスを持つのがいいと思います。

それによって、必要もないのに心を乱されることが少なくなるはずです。

心のキャパシティを広げたいと思ったら、ぜひ「第三者の視点」を意識してみてください。それだけでも、驚くほど気持ちが楽になることがありますよ。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。