「早くやらなければ!」とわかってるのに、ついつい先延ばしにしがちな「実家片づけ」は、“親が元気なうちに取り組むことが何よりも大切”というのは、最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える! 実家片づけ』を出版した、片づけアドバイザーの石阪京子氏。実家に溢れるモノを整理し、お金を把握することで、親子ともに幸せになれるそのノウハウを、本書から抜粋・編集してお伝えします。
実家の「紙の片づけ」の目的
実家の「紙片づけ」の目的は、次の三つです。
・親の資産を把握する
・資産を動かすときに必要な紙を確保する
・親が今後、重要な紙を整理できるシステムを作る(=ホームファイリング)
これができていれば介護などが発生しても慌てることがありませんし、節税対策もできます。相続もスムーズでしょう。
そのために【1】金目の紙を集める→【2】金目の紙を二つに分ける→【3】ホームファイリングをするの3ステップで片づけていきます。
まずは「金目」の紙って何なの?というころから説明してきます。
【1】まず最初に、金目の紙を集める
本書では「金目の紙=財産にかかわる書類」と書いてきましたが、例えばどういう紙なの?と思われる方も多いかもしれません。古い雑誌や年賀状、写真などが「金目の紙」でないことは明白だと思います。
「金目の紙」というのは、生命保険の証書や通帳など、それがあることでお金に換わったり、資産を把握したりするのに役立つ紙(詳しくは本書P164~参照)のこと。
まずはそれらを1か所に集めます。金庫に入れている場合も「金庫にあるから大丈夫」ではなく、中身を確認するために集めてください。
なお、紙は薄くて軽いので、床に平積みすると誤って紛失する恐れがあります。紙袋や段ボールなどの「枠」の中にまとめて入れていきましょう。
勘違いしやすい!「金目の紙」ではないもの
ただ、金目の紙を集めてくるときにやりがちなのが「一見、金目の紙だけど実は違う紙」も紛れてしまうこと。
例えば、銀行や保険会社などから届いた「重要」と書かれた封書。これは一見「金目の紙」のようですが、中を読んでみれば「資産形成セミナーのご案内」や「新・〇〇保険のお知らせ」など、ただのお知らせであることがよくあります。この紙があることで、お金が手に入ったり、資産を把握する役に立ったりするわけではないですよね。ということは、これは金目の紙ではありません。
他にも、昔勤めていた会社の給料明細や、クレジットカードの明細、支払い済みの請求書なども金目の紙だと勘違いしがちですが、これらは全て「過去のお金の流れの情報」です。未来に直接影響を与えるわけではないので、金目の紙ではありません(ただし確定申告をしている場合は期間内のものはお金に換わる紙なので「金目の紙」となります)。
また、直接お金に換わる紙ではないけれども、それを見ることで、親の資産や収入などが推定できる紙もあります。
「金目の紙」かどうかは落ち着いて確認
P164~に主な「金目の紙」の具体例を書いていますが、「金目の紙」なのか「金目の紙でないのか」の見極めはなかなか難しいもの。
「金目の紙」をピックアップするときは、とりあえず怪しいものは集めて中をちゃんと確認してから、判断するようにしましょう。何の紙なのかわからないときは、書かれている問い合わせ先に電話などで確認することも必要です。
本当に必要な「金目の紙」なのか、それとも不要な紙なのかは、集めた後に落ち着いて分類するようにしましょう。
【「金目の紙」は2つに大別】
集めてきた「金目の紙」は、二つに大別されます。
・動いている紙
・動いていない紙
例えば、通帳や株主優待の紙などは、日常的に、あるいは近年中に使う予定がある「動いている紙」です。家のどこかに大事に眠らせておけばいいわけではなく、親御さんが出し入れしやすいように管理する必要があるので、ホームファイリングをして5秒で取り出せる仕組みを作ります(本書P166~参照)。
一方、不動産を買ったときの紙などは、今すぐ使うわけではないので「動いていない紙」です。なくさないように、枕棚などに大事に保管しておきましょう。
*本記事は、石阪京子さんの最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える 実家片づけ』から、抜粋・編集したものです。