米大統領選後1カ月間のグローバル市場
長期金利は日米欧の方向感もまちまち
米国の大統領選挙から1カ月が経過しようとしている。引き続き「トランプ・トレード」の行方についての市場参加者の関心は強いが、この1カ月の米欧日などのグローバル金融市場の動きをみると、トランプ氏が初当選した2016年の大統領選後に「トランプ・ラリー」と呼ばれた当時とは、市場の動きはかなり違う。
株市市場では、米国株の上昇は16年当時とほぼ同程度の勢いだが、日本株やドイツ株の上昇率は鈍く、欧州株の上昇も限定的だ。
今回と16年のトランプ・トレードの違いが最も大きなのが長期金利の動きだ。米長期金利の上昇の鈍さに加え、日米欧の方向感もまちまちだ。それが結果的に為替や、為替を通じて各国ごとの株価のパフォーマンスにも差がでている。
この違いをもたらしたのは、いまと2016年の米経済のファンダメンタルズが異なることだ。この点を考えると、トランプ・トレードが持続するのかどうか、とりわけ米株価の上昇が一本調子で続くのか、日本で懸念されている円安加速の可能性は自ずと判断できそうだ。
S&P500指数は4.3%上昇、16年と同程度
長期金利の動きの違いが為替変動にも反映
まず、この1カ月を振り返って、実際にグローバル市場ではどのような動きが起きたのかをみてみよう。
株価については、S&P500指数は大統領選当日から先週末までに4.3%、TOPIXは0.6%、ドイツDAX指数は1.9%の上昇となっている。