米国大統領に返り咲くトランプ氏の政策は日本株にどのような影響を及ぼすのか。足元では米国の対中政策への懸念から日本株は半導体など中心に下落しているが、中長期的には過度な円高回避と国内景気回復から、日本株はプラス基調を維持する見込みだ。その理由について解説する。(JPモルガン証券チーフ株式ストラテジスト 西原里江)
トランプトレードで米長期金利と
ドルと米国株が上昇
11月5日の米国大統領選挙におけるトランプ氏勝利と「トリプルレッド」(共和党による大統領、上下両院での過半数確保)を受けて、米10年金利は上昇し一時4.4%を超え、ドル円相場は156円台までの円安となった。
米国株式市場では、重要イベントを無事通過したことから市場がリスクオンに転じ、11月8日にS&P500は最高値を更新し、TOPIX(東証株価指数)は円安期待もあって上昇した。
今後も、短期的にはいわゆるトランプトレードが続き、米国長期金利上昇、ドル上昇、米国株上昇(特に米地方銀行や小型株)、クレジットスプレッド縮小が進む余地があるだろう。
中長期的には、トランプ氏の政策がいわゆる「米国例外主義(米国経済、米株市場の独り勝ち)」を強めることで、米株式市場の強気相場が2025年も続く可能性がある。
次ページでは、米大統領選挙の結果を受けた市場の反応と世界経済への影響、日本株市場への影響について整理する。