日銀「12月利上げ」濃厚に、植田総裁が気にする「もう1つの時間的余裕」記者会見で質問に答える日銀の植田和男総裁=11月18日午後、名古屋市内 Photo:JIJI

12月に政策金利0.5%に引き上げ?
物価目標達成の確度高まったことが理由だが

 日本銀行は12月18、19日の金融政策決定会合で、金融市場が不安定な状況になっていない限り、2%の物価安定目標達成の確度が高まってきたことを理由に、政策金利(翌日物コールレートの短期誘導目標)を0.5%にする追加利上げを決めるだろう。

 こう予想するのは、政策金利を据え置いた前回10月の政策決定会合後の記者会見で、植田和男総裁が、「時間的余裕」という表現は不要になったのでこれからは使わないという趣旨の発言をして「封印」したことが一つある。

 この表現は、7月利上げを機に不安定化した株式市場などが落ち着き、輸入物価上昇を受けた国内物価の上振れリスクが相応に減少する一方で、米国経済の雇用などの弱い動きがどうなるかを見極める必要があり、その時間的な余裕があるという意味合いで使われていた。市場の利上げ観測が先走るのを抑えることでも一定の効果があったといえる。

 だが、米国経済は大統領選で勝利したトランプ前大統領の第2期政権でどのような経済政策が実際に打ち出されるのかという不透明要因はあるものの、雇用や消費の動きは堅調だ。そもそもの懸念材料の度合いが下がってきたなかで、金利正常化の道筋をつけようということだろう。

 ただし、それだけではない「12月利上げ」を急ぐ理由がある。