家電量販店最大手のヤマダホールディングスの勢いに陰りが出ている。対照的にヤマダを猛追しているのが、ビックカメラだ。特集『株価、序列、人事で明暗! 半期決算「勝ち組&負け組」【2024秋】』の#10では、両社の店舗立地やビジネスモデル、EC戦略などを徹底比較した。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)
ビックカメラの営業利益は
インバウンドで前期比2.1倍に
家電量販業界に王者として君臨するのが、ヤマダホールディングスだ。山田昇代表取締役会長兼社長が1983年にヤマダ電機を設立し、チェーン展開に踏み切った。2005年には家電量販店で初のナショナルチェーン化を成し遂げ、売上高は家電量販業界で初めて1兆円を突破した。
店舗数や売上高の規模で見ると、ヤマダの牙城はまだまだ盤石だ。しかし、業績の伸びを見ると、王者とはいえないかもしれない。目下、ヤマダの勢いに陰りが見え、業界2位のビックカメラが猛追しているのだ。
新型コロナウイルスの感染拡大を背景とする巣ごもり需要の増加で、ヤマダホールディングスの21年3月期の営業利益は前期比2.4倍の920億円だった。
だが、アフターコロナの業績はやや見劣りする。11月に開示された25年3月期中間決算では、売上高は前年同期比2.7%増の7960億円、営業利益は同14.1%増の232億円となった。
対して、ビックカメラの業績は上り調子だ。24年8月期下期の売上高は前年同期比17.6%増の4750億円、営業利益は同2.1倍の146億円となったのだ。
ではなぜ、ヤマダとビックカメラの業績の中身がここまで異なったのか。次のページでは、2社の業績の差を決定づけた最も大きな違いのほか、在庫回転が大きく異なる理由を解説。さらに、ECも含め「三番勝負」で徹底比較する。