ファミリーレストラン最大手のすかいらーくホールディングスが11月13日に発表した2024年12月期第3四半期決算で、営業利益は前年同期比94%増となった。同社は今春に発表した中期経営計画で新規出店の拡大やM&A(企業の合併・買収)の本格化を掲げており、10月には再上場後のM&A第1号として九州地盤のうどんチェーン「資さんうどん」を展開する資さんを約240億円で買収した。波に乗る同社だが、一方でM&Aを主軸に急拡大してきた競合と財務を比較すると、「稼ぐ力」には意外な弱点も浮かび上がる。特集『株価、序列、人事で明暗!半期決算「勝ち組&負け組」【2024秋】』の#6では、すかいらーくが抱える財務におけるボトルネックを、競合と財務を比較しながら探っていく。(ダイヤモンド編集部 澤 俊太郎)
すかいらーくの24年1~9月期は増収増益
自前路線からM&A路線に転換へ
外食大手、すかいらーくホールディングスの業績が好調だ。同社が11月13日に発表した2024年1~9月期の決算では、売上高は前年同期比12%増の2946億円、営業利益は同94%増の192億円で、増収増益となった。
同社は今春に、再上場後では初となる中期経営計画を発表した。中計では、27年までに自己資本利益率(ROE)を9~10%とする目標を掲げた。さらに3年間で約300店舗を新規に出すほか、M&A(企業の合併・買収)を3~5件程度実施する方針も打ち出した。
早速、10月には再上場後のM&A第1号として九州地盤のうどんチェーン「資さんうどん」を展開する資さん(すけさん)を約240億円で買収し、大きな話題となった。14年の再上場からこれまで、「ガスト」や「バーミヤン」など自社のブランドを育てることで成長してきた同社にとって、M&A路線は大きな転換となる。
ただし、すかいらーくの「稼ぐ力」には意外な弱点も存在する。それは、投資ファンドの傘下から再上場したすかいらーくの歴史が影響している。次ページでは、M&A路線の先駆者で外食業界での競合であるゼンショーホールディングスと比較し、すかいらーくの経営の効率性の実態をひもといている。また、M&A路線の滑り出しともいえる、資さん買収は“お買い得”だったのかも分析する。