早期警戒管制機 E-767

F:あと……AWACSというのもありますよね。

坂: AWACSとはAirborne Warning and Control Systemの略で、エーワックスと呼んでいます。日本語では「早期警戒管制機」です。アメリカのボーイング社の旅客機、B-767をベースに、警戒管制システムを搭載した早期警戒管制機です。ジェット機ですから速度が速く、航続時間も長い。だから遠隔地まで飛行して、長時間警戒することが可能です。

AWACS(早期警戒管制機)「E-767」。旅客機のB-767をベースに警戒管制システムを搭載しているAWACS(早期警戒管制機)「E-767」。旅客機のB-767をベースに警戒管制システムを搭載している 提供:航空自衛隊

F:あ、旅客機の上に大きなレーダーが付いたアレですね。

坂:そうです。

航空自衛隊が誇る空飛ぶレーダーサイト「早期警戒機」の秘密に迫る!E-2C、E-2D、E-767って何が違うの?AWACSは元が大型旅客機(B-767)なので、E-2Cよりかなり機体が大きく、機内も広い 提供:航空自衛隊

F:E-767で後ろに乗っている方々は、レーダー監視を行うわけですね。

坂:はい。主にレーダーを見ている隊員が乗っています。地上のレーダーサイトがそっくりそのまま空を飛んでいるようなイメージです。

E-2CやE-2DとAWACSを併用する理由は?

F:全部の警戒機を高性能なAWACSにした方が安全ではありませんか?全台入れ替えをしないのは予算の関係ですか?

坂:違います。詳細を述べることはできませんが、E-2C/DとAWACSは、機体性能、装備品の能力、運用要領等にそれぞれの利点と不利点があります。どちらか一方の選択肢ではなく、状況に応じて使い分けることで柔軟な運用が可能となるのです。

F:や、なるほど。

正面から見たE-2C早期警戒機正面から見たE-2C早期警戒機(プロペラが4枚) Photo:Diamond
航空自衛隊が誇る空飛ぶレーダーサイト「早期警戒機」の秘密に迫る!E-2C、E-2D、E-767って何が違うの?正面から見たE-2C(プロペラの数が8枚) Photo:Diamond

F:日常の訓練では、どのようなことをされているのですか?

坂:訓練は、ほとんど任務と同じ環境で行います。特に後ろに乗っているレーダー操作員は、自分たちが監視すべき環境がどういう状況にあるのか、常に情報をアップデートしていく必要があります。ですからいろんな方向に飛んでいって、現状を常に見ています。毎日いろんなところをまんべんなく飛ぶことで、ちょっとした変化も分かりやすくなりますので。