深作ヘスス氏衆議院議員・深作ヘスス氏

在米国日本国大使館での勤務をはじめ、米国連邦議会下院議員の外交政策担当など歴任し、2024年の衆院選で初当選を果たした深作ヘスス氏。在米日本大使館勤務時には、バイデン大統領、オバマ元大統領、クリントン元国務長官といった数々の要人たちの撮影を担当し、間近で接してきた。一流の要人たちが発する、周囲の心をぐっと掴む言葉とは?(衆議院議員 深作ヘスス、構成/ライター 金澤知佳)

自分の役割を踏まえて話すことは
リーダーとして重要な能力

 国際的な場に立つ際には、見た目や振る舞い、そしてどのようにメッセージを国際社会に伝えるかを意識することが、リーダーとして重要な能力であり、必要なスキルの一つだと思います。

 バイデン米大統領やオバマ元米大統領は、常に「聴衆が何に関心を持っているのか」「この会が何のために行われているのか」を意識し、自分の役割やこれまでの実績を踏まえた上で話をしています。それら全てが、演出の一環となっています。

 特に米国では、大統領が演説時に立つ位置や、その背景に見える人々の配置までが綿密に計算されています。例えば、会の目的に応じてアジア系の人や黒人をどの位置に配置するか、子どもを映り込ませるかなど、全てがメッセージを最大限効果的に伝えるためのデザインとして考慮されています。

 トランプ氏の写真なども、ぱっと抜かれたように見えるものの、実際はしっかりと作り込まれたものです。大統領レベルになると、一つ一つの配置が意識的に、そして丁寧に準備されています。その結果、見る人々に強い印象を与えることができるのです。

言葉や立ち振る舞いが
人を引きつける力を持っている

 また、間近で接したバイデン氏には圧倒的な人間力があるとも感じています。言葉や立ち振る舞いが人を引きつける力を持っており、まさに「政治家とはこういうものだ」と感じました。

 米国連邦議会勤務時代、ワシントンDCで活躍する国際的な若者たちを招待して開催されたレセプションに参加した時のことです。それまでバイデン氏には何度かお会いしていたのですが、突然、私も含めた若手の人たちの目の前に立ち、「若い君たちにちょっと話をしたい」と言って話し始めた際、その言葉とパワーに圧倒されました。

 当時はすでに副大統領でしたが、帰り道に通り過ぎるようなところでわざわざ立ち止まり、熱を込めて話し始めた彼の目、言葉選び、息のため方――その全てが人をひきつけるものでした。その時ばかりは、カメラを胸元に構えながら撮影しました。

 また、別のレセプションでの出来事も記憶に残っています。当時、私はカメラの腕を見込まれたことでカメラマンの役割を任され、要人が来ると付き添いながら撮影をしていました。