この販売動向は、充電インフラの少なさと再販価値(リセールバリュー)の低さなどから、日本のユーザーもBEVに対して慎重になっていることを物語るものだ。一方で、輸入車メーカーは欧州勢に加えて中国のBYDや韓国の現代自動車が日本市場へのBEV攻勢を強めており、今後市場がどのように変化するのかに関心が集まっている。
国内の自動車市場は、かつてのモータリゼーション進展による成長市場から成熟化し、将来的には少子高齢化が進むことで、縮小の危機も叫ばれている。一方で、国産自動車メーカーは商用車を含めて12社がひしめき、さらに輸入車メーカーの攻勢も激しい。それでも日本車メーカーがモビリティ新時代に向けて環境対応や自動運転などの技術革新において世界との競争に打ち勝っていくためには、母国である日本市場での足場は欠かせない。
カーオブザイヤーは、毎年、自動車各社が新型車を市場投入して自社の技術革新と走行性能など商品開発力を問うものであり、その将来性と現実性のはざまの中で、個性と多様性からどう評価されるかという複雑な条件が絡み合う。
だが、その上での受賞は栄誉なことであることだけは間違いない。
(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)