高関税政策を公約する米国のトランプ次期政権、中国経済停滞など不透明な要因が多い中で、2025年の日本の景気はどうなるのか。特集『総予測2025』の本稿では、10人のエコノミストに成長率、物価上昇率などについて聞いた。(ダイヤモンド編集部 竹田孝洋)
実質賃金上昇で消費は底堅く推移
中国経済停滞続く輸出振るわず
2025年の日本経済の行方を左右するポイントは、賃上げとなりそうだ。
日本の景気の先行きや影響を与える要因について、エコノミスト10人にアンケートを実施したところ、25年の景気にプラスに作用する要因として、7人が賃金上昇に言及。実質所得の増加を要因として挙げた西岡慎一・日本総合研究所マクロ経済研究センター所長も、3%の賃金上昇を見込んでいる。
実質賃金も上昇することで個人消費が底堅く推移する、というのが多数派の回答だ。給与所得者の課税最低限度額である「103万円の壁」の引き上げも個人消費にプラス。森田京平・野村證券チーフエコノミストは「国民民主党が主張する178万円まで引き上げられればGDP(国内総生産)を0.2%押し上げる」とみている。
一方、輸出が景気をリードすることはなさそうだ。景気にマイナスな要因として、6人が中国経済の停滞・減速を挙げ、同じく6人が米国のトランプ次期政権の政策を指摘した。
不動産不況にあえぐ中国経済は、政府が景気刺激策を講じているものの、景気を上向かせるには力不足とみられる。そこに、トランプ次期米国大統領が公約した中国からの輸入品への高率の関税が追い打ちをかける。
中国以外からの輸入品にも10%の関税をかけるとトランプ氏は宣言している。欧州など米国以外の国の景気を冷やすと予想される。
では、具体的には25年の実質経済成長率をどのように予想しているのか。次ページでは、成長率だけでなく物価上昇率も加えたエコノミスト10人の予想のアンケート結果を公開する。