2024年の終わりが近づいたタイミングで25年度のトップ人事が続々と届き始めた。25年に新たな社長が就任する企業はどこなのか。社長交代の周期が25年に訪れる企業13社をピックアップした。特集『総予測2025』の本稿では、その前編をお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
サントリー社長は長期政権が前提
丸紅は一定の任期でバトンタッチ
翌年度に交代を控えるトップ人事の報は例年、前の年の終わりが近づいたタイミングで届き始める。
2024年は飲料大手であるサントリーホールディングス(HD)の社長交代が12月に発表された。その半月前の11月末には、総合商社の丸紅が社長交代を公にした。
この2社のトップ人事は時期こそ重なっているが、タイプとして対照的だ。片や長期政権になる前提の創業家出身社長の就任、もう一方は一定の任期を担うサラリーマン社長間のバトンタッチである。
サントリーHDにおける創業家出身の鳥井信宏副社長(58歳)の社長昇格は、オーナー企業人事の典型だ。
1899年の創業以来、創業家一族が経営のトップに立ち、14年に創業家以外から初めて招いた新浪剛史社長(65歳)の時代を10年間挟んで今回、大政奉還が果たされる。
新浪氏の後任で鳥井氏が社長になることは、かねて周知されていた。鳥井社長が25年3月に就任した後は、長期政権になることが予想される。新浪氏が会長職に就任してなお、創業家出身で元社長の佐治信忠会長(79歳)も続投する。創業家の求心力で経営を引っ張る体制が続くわけだ。
対して25年4月に社長に就任する丸紅の大本晶之氏(55歳)は、30年ごろに引き継ぐ後継者の育成を進めながら経営のかじを取ることになる。
日本の大企業はサラリーマン社長が比較的短い任期でバトンを回すスタイルが浸透しており、丸紅の社長交代周期は5年前後であるからだ。
社長交代周期に基づけば、25年の丸紅の社長交代は見通し通り。他社しかりで、25年の社長交代が濃厚な企業は周期から予想がつく。
では25年に社長交代の周期が訪れる企業はどこなのか。
次ページでは、丸紅の今回の社長交代をNTTドコモやJFEグループのトップ人事とともに分析。そして、金融業界やエネルギー業界でトップ交代周期を迎える企業を取り上げる。その一つが目下、貸金庫窃盗事件で対応に追われる三菱UFJ銀行だ。