総予測2025#66Photo by Yoshihisa Wada

野村ホールディングスは2025年12月、創立100周年を迎える。大阪の両替商から証券業を興した創業者の野村徳七氏は、「顧客第一の精神」を掲げて最大手証券の礎を築いた。その精神に疑問符が付く事件が発生し、奥田健太郎社長兼グループCEO(最高経営責任者)の手腕が問われている。特集『総予測2025』の本稿で、100年のDNAや事件の再発防止策について奥田氏に問うた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

創業1年半後に米オフィス開設
野村徳七氏から受け継ぐDNAとは?

――2025年12月に野村ホールディングスは創立100周年を迎えます。

 野村徳七さんは、大阪で創業して1年半後に米ニューヨークにオフィスを開設しました。その頃からグローバルな金融機関になろうという強い意志をお持ちだった。新しいことに挑戦する野村のDNAは、当時から変わりません。

――変わったこともあるのですか。

 元々は国内のブローカレッジ(委託売買業務)が中心でしたが、今はストック資産を積み上げるビジネスに変わってきています。

 加えて私が社長になってからずっと申し上げているのが、「パブリックからプライベートへの拡大」です。伝統的な上場株式や投資信託などに加え、プライベートエクイティ(未公開株式)などのオルタナティブ投資商品にも投資してもらえる機会を増やす。そうしたアプローチでビジネスモデルを大きく変えようとしています。

野村證券では2024年11月、営業職の元社員が広島市に住む顧客の女性に睡眠作用のある薬物を飲ませた上で、現金1700万円余りを奪って住宅に火をつけたとして強盗殺人未遂と放火の罪で起訴された。創業100年を前に、一体なぜこのような事件が起きてしまったのか。次ページで奥田社長に迫る。