上限1兆円の成長投資が進む伊藤忠商事。TOB(株式公開買い付け)による取り込み益の拡大で、純利益は三菱商事、三井物産に追い付きつつある。では「三菱商事、三井物産超え」をいつ達成するのか。特集『総予測2025』の本稿では、石井敬太社長がこの問いに答える。(聞き手/ダイヤモンド編集部 猪股修平)
24年は巡行速度で推移
足元固めて25年に躍進
――展望が見通しづらい中でも、伊藤忠商事の2024年4~9月期は好調という印象です。
特に何が好調というよりも、自慢のポートフォリオによる(利益の)積み上げがあったからこそです。
24年4~9月期は(純利益の期初目標値に対して)まだ進捗率が50%なので安心はできません。巡航速度とは思いますが。
同期に関しては計画以上に進んだ事業と、そうでない事業とが混在しています。23年に、鉄鉱石や石炭に投資しましたが、収益貢献は今一つでした。一方で国内の消費関係(小売事業など)は好調でした。伸び悩んだ部分を、一過性利益で補っている状況です。
――25年の業績はどうなりそうですか。
(3カ年で設定していた)中期経営計画を単年度の経営計画に改めたのは、そのときどきに起きる現象を的確に捉えていくためです。ですので、25年がこうあるべきだ、と論じられませんが、まずは24年10月~25年3月期をどこまで伸ばせるかに注力しています。
米国ではトランプ政権が始まります。中国に対するアプローチ、中東情勢、関税の問題などいろいろな要素によるインパクトを最小限に抑えるにはどうすればよいか、足元をしっかり固めた上で先々のことを考えていきたいです。
「三菱商事、三井物産超え」をいつ達成するのか。次ページでは、石井社長がこの問いに答える。また、セブン&アイ・ホールディングスのMBO(経営者が参加する買収)スキームや最近のTOB(株式公開買い付け)を含め投資への考え方を語った。