“癒やし系”とも評される営業スタイルへの大転換に対し、2025年3月期の収益目標は極めて大きい。富裕層シフトと“顧客本位”の人材育成をどのように実現するのか。特集『野村VSメガバンク 市場大乱の死闘』(全7回)の#5では、野村證券の一連の大変革の狙いを、国内個人営業部門トップの杉山剛専務に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
金融庁が問題視!高リスクの仕組み債販売
野村はどうする?個人営業トップの答えは……
――2021年4月から、新入社員を支店ではなく「コンタクトセンター」(コールセンター)に配置し、電話での注文の受け付けや投資ニーズの聞き取りをさせながら教育するようになりました。過去の新人教育の手法と比べると、かなり大きな転換です。
私たちとしては、証券業から資産コンサルタント業へと転換を図ることを目指しています。お客さまの資産形成のニーズにお応えするビジネスは、プロダクトアウトからカスタマーインの発想に転換しないと成り立ちません。
お客さまのニーズをヒアリングする能力を深化させることは、以前からの課題でした。私自身が新入社員だった頃は、最初に支店に配属され、飛び込み営業をしてお客さまに育てていただきました。しかし現在は、世の中もお客さまの意識も変化しています。
新入社員を支店に配属し、先輩が飛び込み営業などを強いて厳しく鍛えるという、過去何十年続けられてきたスタイルからの大転換を図った野村。これは、野村ホールディングス(HD)で個人顧客を担当する営業部門全体を変革する大きな戦略の一環だ。
営業員の出世や評価の基準がどのように変わり、コスト削減をどのように進めるのか。そして地方銀行との提携戦略を進める中で、金融庁が問題視する仕組み債の販売にどのように対応するのか。
野村の個人営業部門の進むべき方向、そして決意を、杉山専務が語り尽くした。