経済対策で約14兆円の補正予算成立
税収上振れでも約7兆円の国債増発
総合経済対策の財源の裏付けとなる2024年度補正予算案が12月17日、参院本会議で与党の自民、公明両党と、野党の国民民主党、日本維新の会の賛成で可決され成立した。
石破茂首相の号令の下、「規模ありき」でまとめられた総合経済対策は財政支出分だけでも21.6兆円、このうち24年度補正予算(一般会計)で13.9兆円の追加歳出が計上され、財源の約半分の6.7兆円は国債の追加発行でまかなわれる予定だ(図表1)。
補正予算案の成立の裏には、少数与党の自民、公明両党が、国民民主党との間で所得税の課税最低ラインの「103万円の壁」を、「178万円を目指して来年から引き上げる」ことや、「ガソリンの暫定税率は廃止する」ことで合意するなど、野党側の政策要求を“丸のみ”したことがある。
巨額補正予算編成や事実上の所得税減税となる年収の壁引き上げなどで、政府が掲げる財政健全化目標、国・地方のプライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)の「2025年度の黒字化」は難しい状況だ。
今後、来年度予算編成が本格化するが、政権基盤が弱い石破政権のもとで財政規律は一段と緩む懸念がある。
2年余り前、財源の裏付けがない大規模減税を打ち出し、ポンド安、国債価格急落を招いて発足後1カ月半余りで崩壊した英トラス政権の混乱を思い出さずにはいられない。