「速報ニュースに基づいて頻繁に株の売買を繰り返し、利益を上げている投資家はいない。ゼロだ。一人もいない。そんな方法で儲かるはずがない。必ず損をする。まだこの事実を知らない人も、いずれ自分の運用成績を振り返り、自分がピエロだったことに気づくはずだ(注4)」
出典:Josh Brown, “Why I don’t wake up to the news,” there-formedbroker.com, June 4, 2019.
ニコラ・ベルベ著、土方奈美訳
こうした観点に立つと、一番たちが悪いと僕が思うのは、特定の会社の株が上がった、あるいは下がった理由を説明する記事だ。
こうした記事には「今日、バンク・オブ・アメリカの株が下落した理由とは」、あるいは「ネットフリックス株が暴落した3つの理由」といった見出しがつく。
読んでいると、書き手にはこうした下落が起こることはわかっていた、そんな人物がわざわざ労をとって私たちに理由を説明してくれるのは奇跡のように有難いことだという気がしてくる。こうして株の下落を予測することは可能だという認識が一段と強まる。
だが実際には、記事の筆者たちは株がどうなるかなど、まるでわかっていない。後づけで下落の理由を説明し、投資家からクリック数を稼ごうとしているだけだ。