苦境の日産、ホンダも順風ではない

「いまは買ってくれているが、これから二年、三年先も同じように買ってくれるか、ということを有機的につかまえていないと、莫大な投資をやってマス・プロをやることはできない」

 中国市場での日本メーカーの失敗は、こうした洞察の欠如から生じたと言えるだろう。また、日産が苦しいのは中国だけではない。2024年4月から9月までの半年間で、日産の営業利益(会社の本業で稼いだお金)は、前の年の同じ時期と比べて90%以上も減って、わずか329億円になってしまった。

 特にアメリカでの販売が苦しく、主力商品のSUV「ローグ」の新しいモデルの発売が遅れたことに加え、車を売るために値引きをたくさんしなければならない状況が続いた。

 アメリカで人気が高まっているハイブリッド車の販売でも出遅れている。かつての社長だったカルロス・ゴーン氏の時代に決めた、ヨーロッパを重視する経営方針があまり良くない影響を与えている。

 一方、本田が創業し、資本提携や合併の交渉相手であるホンダも、決して順調というわけではない。

 2024年4月から9月までの売上高は過去最高の10兆7976億円を記録したが、最終的な利益は前の年より19.7%も減って4947億円になってしまった。特に7〜9月の3カ月間の利益は、前の年の同じ時期と比べて60%以上も減少し、1000億円まで落ち込んでしまったのである。

 ホンダも日産と同じように、中国市場での苦戦が大きな問題となっている。中国では電気自動車が急速に普及し、競争が激しくなっているため、車を売るために値引きをしなければならず、利益が減ってしまっている。

 さらに、為替レートの変動や、新しい技術を開発するためのお金がかかることも、会社の収益を圧迫している。結果、今年度の利益の見込みを当初の1兆円から9500億円に下げざるを得なくなった。