10月決定会合も「利上げ見送り」
金利正常化“迷走”の気配
海外主要国の金融政策は、ECB(欧州中央銀行)が10月17日、2会合連続で政策金利引き下げを決め、9月に利下げに転じたFRB(米連邦準備制度理事会)など、程度の差はあるものの、今後の利下げ継続性がほぼクリアに見えてきた。
一方で日本銀行の金融政策は、その逆方向である「追加利上げ」の時期やペースを巡っては、はっきりしない状況だ。
10月30、31日に開かれた金融政策決定会合でも9月に続き利上げは見送られた。
日銀は3月に17年ぶりの利上げを実施、約10年続いた異次元緩和から金融政策の正常化にかじを切り、7月にも利上げをしたが、その際に植田和男総裁が継続的な利上げの方針を示したことで、為替市場では円の買い戻しラッシュとなり、株価は大幅に下落して、日銀は「追加利上げ」の方針を撤回せざるを得なくなった。
利上げ容認派とみられた石破茂首相も、植田総裁との会談の後、「利上げが必要な環境にはない」と語り、個人的な見解としながらも「緩和維持」を求めた。
日銀は、政権と市場に配慮して矛を引っ込めてしまったのだ。
日銀は表向き、政府からの独立を掲げ、為替相場は金融政策の対象外としてきたが、追加利上げを簡単にはできない大きな要因に政権や政府との関係重視があることは間違いない。
石破政権が、総選挙で過半数割れとなり政権運営で野党の協力が必要になる中で日銀はこうした政治状況も勘案せざるを得ない。だがそのことが、金融政策を「迷走」させる懸念がある。