趣味をビジネスに変えた親子

「好きなことを仕事にしたい」若者に喝!経営の神様のツッコミが正論すぎて、ぐうの音も出なかった〈2024人気記事4位〉Photo:Doug Jones/Portland Press Herald via gettyimages

 まず、論文タイトルにある「パラドックス」という言葉である。これは面白い言葉で、一見すると矛盾しているように見えるが、実際には共存している2つ以上の要素や状況を指すものだ。

 自分の趣味を楽しむなかで、利益を追求することはほとんどない。逆に、仕事は利益を追求する行為である。楽しみを利益に変えるには、失敗を含む挑戦や「やりたくないこと」への努力も必要になる。楽しみとは本来、相反するものであろう。

 経済合理性を追求するのが人生だとするなら、趣味など真っ先にやめるべきものだということになってしまう。

 この論文では、ポルトガルのリスボンに住む親子が「スロットカー」(溝のあるレール上を走るミニチュアの車で、電動モーターで動く。コントローラーを使って速度を調整し、タイムを競う)の逸話が示されている。

 親子は自分たちのスロットカーが壊れてしまい、その壊れた部分がどこにも売っていなかったことから、3Dプリンターを使ってオリジナルの部品(シャーシ、車体の骨組み)をつくった。この新しい部品は非常に高性能で、レースで勝つようになった。

 他の愛好家からも「そのシャーシがほしい」という声があがり、オンライン上でのビジネスを始めた。最初は単なる楽しみであったスロットカーづくりが、次第に真剣な仕事へと変わっていく。プレッシャーは増したものの、「楽しさ」を失わずにビジネスの成功を追求したのだという。

 同論文は、次のように結論づけている。