大和証券の増宮守氏によれば「三井不動産は商業施設や大規模再開発案件に強みがある。三菱地所は丸の内再開発を中心に事業を展開し、住友不動産は不動産を売らずに長期保有するといった各社特徴的な事業ポートフォリオと戦略がある」という。
海外の開発事業では、急速な都市化が進むアジアの新興国でのプロジェクトが増えている。最近では、三井不動産は台湾、三菱地所はタイ、住友不動産はインドなどで不動産開発を推進している。
都心オフィスの需要が変化
住宅は新しい顧客層を開拓
不動産会社の開発分野はオフィスビルや住宅、商業施設、物流施設など多岐にわたる。
ここで、企業規模ごとの戦略の違いと主な分野ごとに市場動向を確認しておこう(下表参照)。
都心部のオフィス需要はリモートワークの普及に伴い変化している。特に、人員の増減に対応したり配置を変えやすいフレキシブルなオフィスやコワーキングスペースの需要が高まっている。
住宅市場も変化が著しい。都心部の分譲マンション需要は高止まりする一方で、郊外の戸建て住宅は需要が落ち着いてきた。特に、金利上昇が住宅ローンの負担を増やす可能性があり、消費者の購入意欲に影響を及ぼしている。
そのため大手ハウスメーカーの一部は、こだわりの設計で高額になりやすい注文住宅から、標準搭載としてエコを意識して設計した建売住宅へと事業のシフトを図り、新しい顧客層の獲得を目指す。
商業施設は回復基調が見られる一方、大手はデジタル技術の活用、中小はアート、カルチャーをテーマにした店舗運営などに成長の活路を見いだしている。
不動産業界で活躍するには、顧客の多様なニーズを的確に捉えるコミュニケーションやヒアリング力、提案力が必要不可欠だ。入社後は、担当分野に応じた法規制や契約書に関する知識など、専門的なスキルを磨くことも求められる。