<管理職を辞めたくなる主な理由>
(1)責任の増大により、ストレスや業務負担が増える
 管理職は、部下の管理や業務の調整などの責任を負うことで、仕事の負担が大きくなり、精神的・身体的ストレスを感じやすくなる。長時間労働や決断を下すプレッシャーが続くと、管理職としての役割に対するモチベーションが低下する。

(2)ワークライフバランスの欠如を招く
 管理職であることを理由に、長時間労働など業務時間外でも対応を求められることが増えると、仕事とプライベートのバランスが崩れがちになる。家庭の事情などプライベートの時間を大切にしたいと考える社員にとって、管理職の役割は自らのライフスタイルにマッチしない。

(3)昇進後のキャリアの見通しが不透明
 管理職としての仕事を続けていると、目先の業務に追われ、自分のキャリアの先に対する明確なビジョンが見えてこない、管理職に求められる業務が自分の強みや興味と合わない場合、キャリアアップができないと感じてしまう。

(4)管理職になったことにより職場の人間関係に悩みが生じる
 上席の上司や部下との人間関係がうまくいかず、業務に支障が出たり、自信をなくす、メンタルヘルス不調などになっている。

「B課長の場合、どのケースに該当するんでしょうか……」
「一方的に理由を尋ねるのではなく、普段の仕事の様子はどうだったか、何か困ったことはなかったかなど、相手に寄り添いながら話をすすめることで、辞めたい理由がわかるかもしれません。あと、主任や他のメンバーにも、今回の件で心当たりはないか聞いてみてください」
「わかりました。辞めたい理由がはっきりした場合、会社としてどう対処したらいいですか?」

<「管理職を辞めたい」と言われた場合、会社はどう対処すれば良いか:理由別の対処法>
(1)管理職の役割や会社側の期待について認識してもらう
 管理職としての役割に対して不安や不満を感じている場合、その役割の重要性を再確認し、どのように期待されているかを明確に伝える必要がある。

(2)上層部とのコミュニケーションを密にする
 管理職の業務になじめず孤立している場合、上席上司など上層部とのコミュニケーションが不足している可能性がある。上層部は定期的なフィードバックや面談を通じて、管理職が抱える問題に対して一緒に解決策を考える姿勢を示すことが重要である。

(3)会社側で可能なサポートを提案する(一例)
○業務負担の軽減……管理職業務の内容、権限の範囲などを把握した上で、業務の調整や、仕事量を分担する(例えば、課長代理を置くなど)。
○メンタルサポート……管理職にストレスや精神的な問題がある場合、カウンセリングなど社内外の支援プログラムを提供する。
○キャリアアップをサポートする……管理職が将来のキャリアに不安を感じている場合、本人の意向を聞いた上で、必要なスキルや知識を補強するための研修機会を提供する。

(4)役割変更や異動の提案
(1)から(3)の対処では解決しない場合もしくは会社側で了承した場合、役職変更や異動を検討する。例えば、管理職ではなく、専門職や別の部署での職務を提案するなどがある。