「外来語スピーチ」でも
人々を感動させたポイントは?
まず、難しい英語は全く使っていません。単語も文法も、日本でいう中学生レベルです。というか、英語として単語を使っていないといってもいいでしょう。スピーチに出てくる単語は、外来語として日本語で使われている単語ばかりです。
また、発音についてもいわゆるカタカナ英語で、これもある意味、日本人らしいといっていいでしょう。総じて、「英語スピーチ」というより「外来語スピーチ」とすらいっても過言ではありません。
浅野さんは優秀な俳優ですから、英語のセリフとしてもっと完璧なスピーチをすることもできたでしょう。10年以上前からハリウッド映画に何作も出演しています。それに、今回の賞のノミネートは昨年12月に行われたもの。つまり、浅野さんは事前に準備して「英語スピーチ」もできたはずなのです。
しかし、あえてしなかったのでしょう。そして、今回の中学生レベルの外来語スピーチで浅野さんの気持ちは十分に伝わったと思います。
浅野さんは、アメリカ人風の自信満々な立ち振る舞いではなく、やや猫背な姿勢でした。発言内容も相まって、いわゆる日本人らしい謙虚な雰囲気でした。
一方で感情表現については「Wao」など感嘆符を使い、大きな声ではっきりゆっくり、堂々とカタカナ英語で発音しました。これも、現地の会場を沸かせたポイントの一つでしょう。