バブル世代から氷河期世代へ
ポストや権限が引き継がれ…
氷河期世代はとにかく慎重かつ、根拠のあるものしか信用しません。着実に計画的に可能な線で物事を進めていくことを重視します。そのため、大風呂敷を広げがちなバブル世代の考え方には苦手意識を持つ人が多いのです。
大量採用で実力以上の会社に入社してきた人も少なくないバブル世代を、就職氷河期世代は見下しがちになることもよくあります。
このように対照的な特徴を持つ両世代ですが、今年からバブル世代が定年を迎え、続々と社会の現場の最前線から退き、氷河期世代にポストや権限を引き継いでいくことになります。
我々バブル世代が就職した後、日本はバブル経済の崩壊、リーマンショックを経験しGDPは長らく低迷し、2023年にはドイツに抜かれて世界4位に後退しました。さらに、幸福度においても、国連が毎年発表する世界幸福度ランキングでは24年は前年の47位から更に順位を落とし51位とG7の国の中でも最下位となっています。
円安や戦争などによる物価高騰に対して賃金の上昇が追いつかず、人々の生活は日に日に苦しくなっている中、日本は失われた「30年」が「40年」になろうとしています。この40年にわたる、日本の凋落を若い頃は現場のリーダーとして、そしてその後は中間管理職となり、今は社会のさまざまな場面でのマネジメントの中心の要職で担ってきたのがバブル世代です。
上の世代が戦後の復興から高度成長期を経て、“ジャパン・アズ・ナンバーワン”とまで称された繁栄をバブルという頂点で受け継ぎながら、その流れを加速するどころか今の日本の厳しい現実を招いた中心にいたのが、バブル世代なのです。
もちろん、上の世代からは繁栄と共にバブル崩壊の根本となったさまざまな「負の遺産」を引き継いたという側面も否めませんが、バブル世代が結果を出せなかったのは事実として受け止めざるを得ません。
そんな今のどん底の社会状況の中、日本の変革と再興という重いテーマは、これから2030年までの約6年を通じて、氷河期世代に託されることとなります。そしてその時代の現場を担うのが、グローバルな感覚を持つデジタルネイティブなミレニアル世代とその下のZ世代です。
先行きが不透明なVUCA(ブーカ)の時代の今、氷河期世代が社会のリーダーとして、以降のジェネレーションと共に日本をどのような国にして行くのか非常に注目される中で過去の延長線上ではない新しい日本の在り方が問われています。
また、第一線から退いたバブル世代が、今後どのように彼らをサポートしていくのか?どんな役割を担うべきか?人生100年時代を迎えた今、これからの我々バブル世代の新しい生き方を改めて考えていく必要があると思うのです。
(インテグレート代表取締役CEO 藤田康人)