正社員雇用が減少した就職氷河期世代
ストイックで堅実的なタイプが多い

 そんなバブル世代の下に位置する1971年~1982年頃に生まれた就職氷河期世代は、バブル経済がはじけて景気が悪化する時期に、社会人生活をスタートしました。この時代、正社員としての雇用が減少し、契約社員や派遣社員などの非正規雇用が拡大。バブル世代とは正反対の状況で、すべてにおいて危機感が強く、正社員になれただけでもありがたいと感じる人が多くいました。

 また、1991年のバブル崩壊により有効求人倍率は低下を続け、1999年には0.48倍まで下がりました。その結果、氷河期世代の就職活動は非常に厳しいものとなり、この世代は「ロスジェネ(ロストジェネレーション)世代」とも呼ばれることもあります。

 氷河期世代の人は、働けることへの感謝が強く、仕事に対してストイックに取り組む人が多い傾向があります。経済の低迷が続く中で働いてきた経験があるため、会社の経営状態や経済動向に敏感で、転職経験がある人も多い世代です。

 経済の混迷が続く時代には、派遣切りや会社の倒産も多く、一度就職できても安心とはいえない状況でした。そのため、転職を見据えたスキル獲得の必要性を強く実感している人が、他の世代よりも多いのも特徴です。

 一方、バブル世代は、日々周囲のライバルと競い合って勝ち上がっていきました。そのため、成功したのは「自分は賢いからだ」「自分は優秀だからだ」と自信にあふれていることが多く、新たなチャレンジに積極的で、環境の変化に柔軟に対応できることや、失敗をあまり恐れないという特徴が見られます。

 高度経済成長期の時代にあった日本社会は、上司からパワハラまがいの無理な指示を受けても耐えて頑張れば、いずれは昇給や出世といった見返りがあり、我慢して仕事をしていれば結果を出しやすかったのです。

 この経験から、バブル世代の人たちは「自分のやり方は正しい」と自信を持っており、部下に自分の考えやプロセスを押し付ける傾向があります。

 氷河期世代は、就職難を経験してきた世代であるため、バブル世代とは対照的な、より現実的な考え方を持っています。就職するために資格で武装するといったストイックで堅実なタイプが多い氷河期世代に対し、バブル世代は楽観的で、勢いやノリで対応する傾向があり、しばしば根性論を振りかざします。

 このように、価値観や考え方がある意味真逆なこの2つの世代は、多くの組織や企業で折り合いが悪く、さまざまな場面で対立が激しいと言われてきました。