これで2駆が254万1000円、4駆が273万9000円と激安価格。さすがスズキ。やっぱりスズキ。いま日本で買えるSUVの中で、最もお買い得感の高いクルマではあるまいか。

 今回用意された試乗車は4駆仕様。これは日本だけに用意された仕様で、本国インドでは発売されていない。エンジンの最高出力は99馬力。2駆の方はわずかにパワフルで101馬力。重量は4駆のほうが60キロほど重い。

「小・少・軽・短・美」を体現するクルマ

 クルマに乗り込む。ステアリングは何と革巻きだ。ハンドルの奥にはヘッドアップディスプレイが投影される透明の樹脂が立っている。「豪華」とは言わないが、これが300万を切るクルマなのかと感嘆する。最近はヘタをすると軽自動車でも300万を超えてしまいますからね。

 スタートボタンを押してエンジンを始動する。

 ギアを入れる。トランスミッションは6速ATである。

 ボディーサイズは全長×全幅×全高=3995×1765×1550mmとコンパクト。短い全長は、世田谷の入り組んだ裏道の取り回しも気を遣わなくて済む。

 用賀から東名高速に乗る。一気に坂を駆け上がる。実にスムースだ。本線との合流。加速に何ら不満はない。速度を上げるほどに安定感が増す印象。ホイールベースは2520mmと短いにもかかわらず、直進安定性が非常に良い。運転席の包まれ感、剛性感も良い。スペック表を見ると、重量はわずか1130kg。何をどうやったらこの軽さで、この剛性感を出せるのか。スズキの行動理念である「小・少・軽・短・美」を見事に体現するクルマである。

 料金所を超えて100キロ巡航。運転席側の窓から笛のような妙な風切り音が聞こえてくる。が、これは何度か窓を開け閉めすると収まった。単純にウェザーストリップの取り付けの問題だろう。大した話ではない。

 路面の継ぎ目の部分で後ろの部分がやや跳ね上がる印象。完全空荷の一人乗りなので、ここは仕方があるまい。

人か荷物を載せたほうが安定する

 後日、ゴルフクラブを搭載し、アクアラインを超えて千葉に向かった。僅か20キロ程の荷物を荷室に積んだだけで後部のバタつきはかなり抑えられた。更に後日、助手席に長男を、後部座席に長女を乗せて多磨霊園に墓参りに出かけた。バタつきは更に抑えられた。そもそも一人や空荷で乗るクルマでは無いということなのだろう。

後ろにゴルフクラブを載せただけで後部のバタつきは抑えられた Photo by F.Y.後ろにゴルフクラブを載せただけで後部のバタつきは抑えられた Photo by F.Y.

 試乗した印象を一言で表すと「しっとり良いクルマ」ということになろうか。デザインも悪くない。乗り心地も良い。それでいてフル装備の4輪駆動車がたったの273万9000円。キャベツが1コ1000円もする悪夢のような物価上昇が続く我が国において、これをお買い得と言わずして何と言おう。お買い得ですぜ、奥さん。