35歳になると転職できない――。ひと昔前に叫ばれた「35歳転職限界説」は、慢性的な人手不足によってほぼ絶滅状態にある。しかし、35歳以上の転職が増えたことで、採用現場では「シン・35歳転職限界説」がささやかれていることをご存じだろうか。2万人以上の転職を支援してきた転職のプロが教える「35歳を超えた人材」をめぐる“新たな問題”を提起する。「シン・35歳転職限界説」に陥らないために、すぐに取り組める対策も紹介する。(クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)
採用現場が頭を抱える
「シン・35歳転職限界説」
この連載では10年前から「35歳転職限界説など都市伝説にすぎない」と主張してきました。確かに昔は35歳を超えると書類審査の段階で機械的にはねられてしまう時代がありました。しかし、ここ10年でそれは過去の因習としてほぼ絶滅しました。
さらに現在は社会の少子高齢化がもたらした慢性的な人手不足によって、35歳以上の転職はもはや珍しくありません。公共職業安定所も「年齢で差別してはいけません」と指導しており、50代向けの求人も少なくないです。実際に当社では50代の転職がたくさん決まっています。この状況は10年前と比べ、非常に大きな変化であると採用の現場に身を置く立場から感じます。
その点では、昔の常識であった「35歳転職限界説」はきれいさっぱりなくなったといってよいでしょう。ただし、35歳以上の転職が当たり前になるにつれ、新たな問題が生じているのです。
それは35歳以上の人が晴れて転職したものの、新しい職場に適応できないという現象です。