食品大手の味の素は食品事業で海外の売上高が国内を上回るなど、グローバルで大きな存在感を見せている。特集『総予測2025』の本稿では、25年のグローバル戦略の柱に掲げる商品や課題の残る国内食品事業の改善策を藤江太郎社長が明かした。(聞き手/ダイヤモンド編集部 澤 俊太郎)
24年は目標の3合目
海外では冷食を成長の柱に
――2024年を振り返ると?
エベレストの登頂で例えると、3合目ぐらいまで来た年。これまでのように3カ年の中期経営計画を策定するのは23年にやめました。エベレストに登るように、30年までの長いスパンで“ありたい姿”をつくることにしたんです。
ROE(自己資本利益率)20%、ROIC(投下資本利益率)17%といった30年までの数値目標に対しても3合目ぐらいまで来ています。
――食品事業は売上高で海外が国内を上回っています。今後のグローバル戦略は?
東南アジアを中心とした調味料のオーガニックな成長をしっかりと進めたくて、数量ベースでも単価ベースでもそれぞれ拡大の計画を立てています。
味の素の法則でいうと、1人当たりGDP(国内総生産)が1000ドルを超えてくると「うま味調味料」が結構売れだす。3000ドルを超えてくると「風味調味料」が、そして1万ドルを超えてくると冷凍食品が売れ始めます。
冷凍食品の中でも特に伸びているのがギョーザで、23年度時点ですでに海外売上高が国内のそれを抜いています。海外では国内と比べて3倍ぐらいの価格で売れるので、利益率も高い。なのでギョーザをはじめとしたアジアン冷凍食品を一つの成長ドライバーにしていきます。
味の素は冷凍食品などで海外事業を大きく成長させる一方、国内で食品事業の利益率低下といった課題を抱える。次ページでは、藤江社長が25年に思い描く国内食品事業のの改善策を明かした。また、25年に伸長しそうな食品ジャンルの見立てを語った。