2026年度から「物流統括管理者」(CLO)の選任が義務付けられることをご存知だろうか。海外では、「CEOの登竜門」としても知られる役職だが、日本企業ではまだ馴染みがないため、「誰を専任すればよいのか」と悩む企業も多い。カーゴニュース紙の名物企画、新春記者座談会にて、記者5人が内外の事情について解説する。(カーゴニュース編集部)
“なんちゃってCLO”も出てくる!?
3000社対象に26年度からスタート
A 改正物流法は特定荷主に「物流統括管理者(CLO)」の選任を義務付けたね。「CLO」は物流業界で2024年最も注目されたワードのひとつだった。率直に言って、物流統括管理者のような役職を置くということは、荷主企業内における物流部門のボジションが引き上げられるという意味で、肯定的に受け取れると思う。
しかし、生産部門と販売部門と緊密に連携し、時にはリードするような理想的なCLOの任務を果たせる人材がどれだけいるのかは未知数だ。“なんちゃってCLO”というのも出てくるのではないかという皮肉な見方もできる。
B CLOは物流の個別改善だけでなく、社内・社外との調整を担い、物流戦略・サプライチェーン戦略策定に責任を持つポジションと定義されている。また、経営的な視点と一定の影響力が求められることから、「役員レベル」がふさわしいとのことだ。
こうしたポジションが設置されることによって、経営戦略としての物流の重要度が増し、ロジスティクス視点での発言力が強まることで、物流の改善やサプライチェーンの効率化が促進されることが期待できる。
国内の上位3000社程度の大手荷主を対象に、26年度からCLOの選任が始まるが、「物流の知見」と「経営の知見」の両方を備えた人材は現時点ではそれほど多くはないのではないか。工場が個別に物流を管理していたり、本社組織に物流部門がなかったりで、大手荷主といえども物流管理の現状は千差万別だ。