米銀大手の好調続く、融資の長期的シフトが影Photo:VIEW press/gettyimages

 企業役員室やトレーディングフロアでの動きが活発化し、米銀大手など「ウォール街」の来たる1年の業績に対する投資家の期待感をあおっている。一方で地域に密着した「メインストリート」の銀行全般において、それが当てはまるわけではない。

 大手グローバル銀行から2024年10-12月期決算の第1弾が発表された。それによると、2025年に多くの合併・買収(M&A)が成立し、ハイファイナンス(大規模で専門性の高い金融活動)分野で大型取引などが活発化する兆しが見られた。一方、中核的と考えられる銀行業務(融資または純金利収入で定義される)の伸びは、2025年に同じ程度の飛躍は予想されていない。純金利収入は、銀行が融資や証券投資で得る利回り収入から、預金者に支払う利息やその他の資金調達コストを差し引いたものだ。小規模な金融機関にとって、この指標はさほど幸先の良いものではない。

 JPモルガン・チェースは、変動の大きい市場部門を除いた中核業務の純金利収入が若干減少し、24年の約920億ドルから25年には約900億ドルになると予想。ウェルズ・ファーゴは、純金利収入の伸びが1~3%と予想する。その一部はよりメカニカルな要因、例えば、古い投資が償還されたり、より高い金利で再投資されたりすることによるものだ。

 各行はこれらの予想が、米連邦準備制度理事会(FRB)の次の動きといった多くの要因に左右されることを常に警戒している。今のところ、FRBは以前考えられていたほど急いで利下げする見通しではなくなったため、銀行の変動金利ローンや、満期を迎えた債券の償還金や新規預金の再投資にとっていくらかプラスに働くかもしれない。だがそれは、預金コストの低下に対する期待も抑えることになる。

 ここで重要なのは、米銀大手が融資の大幅な伸びを見込んでいないことだ。特に伝統的な商業銀行部門の借り手に対してはそうだ。