負債総額は10億8681万円にのぼり、同社の破産で買収されたグループ企業は他社への再譲渡などで生き残りを模索したが、一部は連鎖倒産の憂き目に遭った。コンサルに支援を求めた結果が、連鎖倒産では浮かばれない。
市場は拡大しているが
大手が圧倒的なシェア
「経営コンサルタント業」は斜陽産業なのか。東京商工リサーチ(TSR)では全国の主な経営コンサルタント業、3387社の業績を調査した。
2023年度の売上高合計は、2兆8567億円(前年比10.6%増)、利益合計は2144億円(同1.8%増)と増収増益だった。このうち、約8割の2669社(構成比78.8%)は黒字で、赤字は718社(同21.1%)にとどまる。
ただ、売上高100億円以上は26社(構成比0.7%)と1%に満たないが、売上合計は1兆8458億円で全体の64.6%を占める典型的な寡占市場だ。
一方で、売上高1億円未満は2161社(同63.8%)と半数を超え、売上合計は669億円と全体の2.3%にとどまる。コンサル業界は、ほんの一握りの大企業が業界シェアを抑える構図になっている。
利益面はさらに規模格差が鮮明で、100億円以上の26社は1571億円(構成比73.2%)に対し、1億円未満の2161社は20億円(同0.9%)にとどまる。
コンサル業界は、優秀な人材が揃う大手コンサルファームに人気が集まり、規模格差が鮮明に表れている。そして、コンサル業の倒産は、大半が小・零細規模に限定されている。
後継者不足やDX支援など、中小企業が直面する課題は多様だ。ただ、高度化する顧客ニーズへの対応には、それ以上の専門的な知識が必要になる。昔の経験則だけにすがるコンサルはもう通用しない時代を迎えている。だが、換言すれば、優秀な人材を確保し、顧客に新たな付加価値を提供できるコンサルタントは規模の大小を問わず生き残る余地があるともいえる。
ますますコンサル業界は分野を問わず競争が加速するが、経営者の真剣な求めに気付かないコンサルは生き残りが難しい。結局は、コンサルもアナログな人間力が問われているのかも知れない。