「どうすれば、お客様に覚えてもらえるのか…」
営業パーソンにとって、お客様に「覚えてもらう」ことは死活問題。「前に会いましたっけ?」「すみません、なんの話でしたっけ?」なんて言われてしまうような「その他大勢の営業」では、結果はおろか、信頼関係さえ構築できない。
「お客様の“記憶に残る”ために必要なことがあります」。そう語るのは、『Sales is』を執筆した今井晶也氏と、『記憶に残る人になる』を執筆した福島靖氏だ。お客様の「記憶に残る」ことを心がけたことで圧倒的な成果を出した営業のプロによる対談でわかった「お客様の記憶に残る営業」の真髄に迫る。

お客様から「選ばれる」ためにできること
――より多くのお客様とつながるには、どうすればいいですか?
今井晶也(以下、今井) 福島さんは、特別なサービスや値引きができない場合、どうやって自分を選んでもらう工夫をしてきましたか?
福島靖(以下、福島) 僕は大企業の一営業だったので、自由に値引きしたり特典をつけたりはできませんでした。全員が同じ商材を扱っているなかで、僕を選んでもらわないといけない。そうなると、自分のことをより多くの人に知ってもらうしかありませんでした。
今井 リーチできる人数を増やすわけですね。

福島 そうです。ただ、「1対1」の関係を増やしていくと、ひとりのお客様にかけられる時間は減っていき、フォローもできなくなってかえって評価を下げてしまいます。
そこで、「1対多数」の関係を作ろうと考えて、ベタですがSNSに注力しました。当時のTwitterですね。やるからには徹底的にやろうと思い、投稿内容や書き方などにアドバイスをくれる顧問編集者さんにもついてもらい、半年間、指導を受けました。フォロワーが5,000人くらいを超えてくると、どの企業でも1人くらいは僕のことを知ってくれている人がいるようになりました。
今井 SNSは僕も注力しているので、その効果には大いに共感できます。
自分を表す「代名詞」を作る
福島 他には、何か自分を表す「代名詞」を作れないかなと考えました。
たとえばあるとき、お客様の会社に伺った際、お子さんがいらっしゃったんです。でも当時の僕は子どもを持つ前だったので、あやし方がわからなかったんです。それが悔しくて、「次は絶対にお子さんを喜ばせよう」と考えました。それで、手品を覚えたんです。
今井 手品ですか! ユニークな発想ですね。
福島 お客様が選んだカードを当てる簡単なマジックでしたが、お子さんが大喜びしてくれました。するとそのお客様は、飲み会や集まりでその手品を披露してくれたそうなんです。そこで「これ、どうしたの?」と聞かれて、「福島さんっていう営業さんに教わったんだ」と、僕のことを話してくれたんです。