特段努力せず取り組めることが
自分にとって「得意なこと」になる
「やりたいこと」という言葉から、具体的な仕事内容を明確にしなければいけないと考える学生も多くいます。
しかし、最終的な仕事を選ぶ軸には「“何をやるか”よりも“誰とやるか”が大事」という考え方もあるでしょう。「実家から通えるところがいい」「趣味の活動を仕事と両立させてくれる会社がいい」など、生活を含めた“ありたい姿”を大事にする学生もいます。
就活という自己理解を深める貴重な機会を生かし、これから自分がどんな人生を歩んでいきたいのか、何を大事に生きていきたいのかを深く考えることがより重要なのです。
そんな将来の“ありたい姿”を考えることは、大学1・2年生、あるいは大学進学を予定している高校生からでも早すぎることはありません。
多くの学生が、就職活動を始める時期として、インターンシップ等の応募が始まる大学3年生(修士1年生)の6月を挙げています。自己分析も就職活動が始まってから進めればいいと考える学生がいますが、自分自身の理解を深めることは、学年にかかわらず、いつからでも始められます。
学業やサークル、部活、アルバイトなど多様な経験を通じて、何を学び得たのか、どんなときに感情が揺さぶられたのかを知っていくことが、自分に合う仕事や職場環境、働き方を考える際の大事な土台になっていきます。
自己理解を深める上で大切なポイントは、自身の「好きなこと」と「得意なこと」を知ることです。
幼少期まで遡って人生を振り返り、夢中になって取り組んだことや熱中したことには何があったか、どんな共通点があるかを考えてみましょう。そこから仕事として興味を持てる領域につながることもありますし、「仲間と喜び合う瞬間が好き」「自分なりに試行錯誤するプロセスが好き」など、行為自体から、自分に合った働き方のヒントが得られるかもしれません。
「得意なこと」も重要な視点です。「やりたいこと」や「好きなこと」といわれてもピンとこない人は、周りから「その行動を続けられるのがすごい」「苦にならずに取り組めるのがすごい」などと感心されたり評価されたりしてきたことから“得意”を見出していきましょう。
ごく自然に、特段努力したという意識を持つことなく当たり前のように取り組めること。それが、自分にとっての「得意なこと」にあたります。何がモチベーションになって続けられたのか、その要素が分かれば、自分に向いている仕事や力を発揮しやすい環境探しにつながっていくでしょう。