「どこでも通用するスキル」を望む若者が増加、キャリア感が多様化している背景とは働く価値観が多様化する中、若者のキャリアに対する考え方はどう変化しているのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

就職・採用に関する調査、分析を行う、リクルート就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏が、就活の最前線を語る連載の第23回。今回は、『働きたい組織の特徴』に関する調査から、個人と企業の動き方を見ていきたい。

「汎用的な能力が身につく」組織を
望む割合が11年で約11ポイント増

 就職みらい研究所では、就職活動を行っている大学4年生・大学院2年生を対象に、『働きたい組織の特徴』の調査を、2013年 (2014年卒)から毎年継続的に実施しています。学生が支持している働きたい組織の特徴について「経営スタイル」「貢献と報酬の関係」「成長スタイル」「ワークスタイル」「コミュニケーションスタイル」の5つの観点で調べている本調査。

 この中で今回注目したのが「A:どこの会社に行ってもある程度通用するような汎用的な能力が身につく」と「B:その会社に属していてこそ役に立つ企業独自の特殊な能力が身につく」のどちらの考えに近いかを聞いたものです。 

 経年の変化を見ていくと、A:汎用的な能力を支持する割合は2014年卒で66.7%だったのに対し、2024年卒では77.9%と約11ポイント増加しています。なぜこのような変化が起きているのか、「個人」と「企業」の観点から考えていきたいと思います。

転職への意識は10年で約15ポイント増
多様化する個人のキャリアの積み方

 そもそも個人は、就職後のキャリアについてどのようなイメージを持っているのでしょうか。

 東京商工会議所の『2024年度 新入社員意識調査』では、26.4%の人が「チャンスがあれば転職したい」と回答しており、10年前の2014年度調査(11.9%)と比べて14.5ポイント増加しています。将来的な転職の可能性も視野に入れ、初職を選択する個人が増えてきている様子がうかがえます。一方、「定年まで」と答えた割合は21.1%でした。10年前の2014年度調査(35.1%)と比べて14.0ポイント減少しているものの、新卒入社した会社で定年まで勤め上げたい個人も2割ほどいることがわかります。