京都市内の清水寺に続く坂を上る店やレストランの前を歩く観光客今後、訪日外国人が相対的に少なかったところに、観光客を誘導していけば、その消費拡大の効果は絶大なのではないか(京都市内の清水寺に続く坂を上る店やレストランの前を歩く観光客) Photo:AFP=JIJI

24年の訪日外国人消費8.1兆円
地方に成長のポテンシャル

 訪日外国客数が2024年は約3687万人と過去最高を更新したなかで、訪日外国人消費額は8.1兆円と前年よりも2.8兆円ほど増えた(観光庁「インバウンド消費動向調査」)。この増加額のインパクトは、名目家計消費の伸び率を+1.0%ポイント押し上げるものだ。

 円安などもあって外国人消費は物価上昇に強く、物価高で節約志向の強い国内の日本人の消費とは好対照で、24年の実質消費のけん引役になったといえる。

 25年も円安傾向が見込まれ、この勢いが続くと予想されるが、そのほかにも「伸びしろ」があることが期待を膨らませる。

 現状では、訪日外国人の消費の6割が東京、大阪、京都の3都府に集中していることだ。

 まだそれほど訪日外国客が多くない県や市町村にも、訪日外国人をうまく誘導できれば、地方経済の活性化につながる。

 例えば、「地方創生」を掲げる石破茂首相の出身地の鳥取県は、訪日外国人消費は3位の京都の約20分の1の規模だが、観光資源や特産物などもあり、もっと膨らんでいく潜在能力は十分ある。

 インバウンド消費は、日本経済の数少ない伸び代なのだ。