それでも学習支援すべき児童を守るために、百合さんも暴れる児童を抑えなければならなかった。そうでないと、支援すべき児童が被害に遭ってしまう。支援を必要とする児童に支援員が寄り添い続けていると、暴れる児童が妬いて「こいつ、キモイ」と、休み時間にいじめるのだ。
そんな様子の児童ともし向き合っても「訴える」と言われるため、逃げるしかない。児童たちは何かにつけタブレットで動画を撮ったり、音声を録音したりする。担任はベテランでもすぐに心を壊していった。5年生の後半、担任はじんましんが出るようになって、校門の前に立つと唇が紫色になるようになった。
3学期も残すところ1ヵ月という時に、担任は学校に出勤できなくなり、副校長が代わりにクラスに入ったが、その副校長もすぐにメンタルを病んだ。3階の教室の窓から牛乳を投げた児童もいたが、校長は保護者に隠したため、保護者は子どもたちのそうした姿を知る由がなかった。