教室では児童たちが、塾の成績の上下について「こいつ、○○クラス」と言って、マウントのとり合いをする。受験しない児童はクラスでバカにされ、「お前は受験しないだろ」と、掃除をさせられる。学力が届かず、その大手塾に入塾できない児童もいじめのターゲットになる。
ある男子児童は「自分より下だ」と見るクラスメートを家畜扱いし、さらには自分の代わりに授業のノートをとらせ、遊び始めるのだ。それを教員から注意されると、「こいつ、塾の○○クラスでバカだから、2回やらないと覚えない。だから、やらせているんです」と平然と言い始める。「塾通いしている児童は皆、好きなことをやめさせられて、ひたすら受験勉強をしている。そのイライラは、大人が思うより大きいのだろう」と、百合さんは感じた。
クラスの児童の多くが受験塾で学校より難しい勉強を先行して済ませているため、担任が夏休みの宿題にドリルを出そうとすると、児童たちは「そんな簡単なドリルはやる意味がない」「塾の宿題があるのにナンセンス!」「バカな問題やっても受験に役に立たない」と矢継ぎ早に不満を口にする。毎日1行の日記を書くプリントを渡せば、「夏休みは毎日が塾なのに、書いても意味がない」と声を張り上げる。
担任がはっぱをかけるつもりで「君たちのためにならないよ。だったら、いいよ、やらなくても」と言ってしまった。そうなると「時、既に遅し」だ。“受験組”の全員が、その場でドリルの答えを見て機械的に書き写し始めた。1行日記のプリントについても担任が「提出はしなくてもいいです」とあきらめると、約半数の児童が担任の目の前でプリントをゴミ箱に捨てて帰った。
運動会もやる気なし
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小学校では6年生が最高学年として下級生のお手本となることが求められるが、受験組は「は?なんで運動会なんてやんなきゃなんないの?」。運動会の本番を迎えても見るからにやる気がない様子。各学年の種目が終わるのを待っていられず「なーがーいーんでーすーけーどー」とヤジを飛ばす。椅子に座って応援していることもままならず、歩き回っていた。