2040年には道路橋の75%とトンネルの53%が「耐用年数」超え、インフラ老朽化事故は今後も起きる埼玉県八潮市の県道交差点で発生した道路陥没現場=2月3日[草加八潮消防局提供] Photo:JIJI

人ごとでない八潮市の道路陥没事故
成長期に整備の社会資本が耐用年数を迎える

 埼玉県八潮市で1月28日、道路が突然陥没し、トラックが転落した。運転手の安否は不明だ。

 報道によると、下水から硫化水素が発生し空気に触れて硫酸となり、これが下水管を腐食させ、管が壊れて周辺の土砂が流れ、道路内に空洞ができて陥没したのだという。

 穴は、深さが最大15メートル程度で、幅は40メートル程度まで広がった。周りの住民も、穴がさらに広がらないかと心配だろう。また、周辺の市町村に対しては、下水道使用の抑制が要請されている。影響は120万人に及ぶ。

 同じような事故は、いつどこで起きるか分からない。そして誰が巻き込まれるかも分からない。集団登校中の生徒たちが巻き込まれてしまう可能性もあり、そうしたことを考えるとぞっとする。

 今回の事故について重要なのは、これは単発的、偶発的な事故ではなく、極めて大きな問題の一部が必然的に表面化したものであることだ。

 大きな問題とは、日本の社会資本の劣化だ。下水道だけでなく、道路、橋梁、トンネルなども、経年劣化によって事故が起きるかもしれない。

 日本では、高度成長期に急激な都市化が進み、80年代までの成長期において社会資本が急速に整備されたが、それらが、耐用期限を迎えているのだ。

 すでに2020年時点で道路橋の30%、トンネルや港湾施設も2割が耐用年数を超えている。だから、類似の事件が、日本のさまざまな地域でこれから多発する危険がある。