![三菱商事が洋上風力で522億円の巨額減損!「特損地獄」必至で中西社長の“経営責任論”に発展も](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/9/d/650/img_9d97a1c76d857ab6827c699af1d10f96286809.jpg)
三菱商事は2月6日、国内3海域で進めている洋上風力発電事業で2024年4~12月期に522億円の減損損失を計上したと正式発表した。同社は政府公募の洋上風力コンペ第1弾で3海域のプロジェクトを総取りしたが、円安や資材高、工程遅延などが大きな逆風となっていた。今後、さらなる損失が発生する「特損地獄」に陥る可能性もある。”お荷物事業”を主導してきた中西勝也社長の経営責任論が浮上する可能性もある。連載『クローズアップ商社』の本稿では、特損地獄に陥りかねない理由に加え、三菱商事の経営への影響を明かす。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)
三菱商事を「特損地獄」に陥れかねない
3つのプロジェクトの泥沼化
三菱商事が巨額損失を発表する2日前、洋上風力発電事業のパートナーである中部電力も2024年4~12月期に同事業で179億円の損失を計上すると発表していた。すでに同事業の採算性がかなり悪化していることは明らかだった。
21年12月にあった政府公募の洋上風力発電プロジェクトコンペ第1弾において、三菱商事は圧倒的な価格破壊による「安値受注」で秋田県沖、千葉県沖の計3海域全ての案件を手に入れていた。だが、その後、資材高や工程遅延などによって、巨額損失に直面していることをダイヤモンド編集部が12月に報じていた(詳細は『三菱商事が洋上風力事業で「巨額減損」の瀬戸際、商社No.1の座危うし!コンペ第1弾で3案件を総取りも「3つの誤算」で窮地に」』参照)。
今回の決算発表では、それが現実となった。2月6日に開かれた会見で中西勝也社長は、減損の要因について、「地政学リスクに端を発した洋上風力業界を取り巻く事業環境の変化」を挙げた。具体的には、世界的なインフレの加速、円安進行、サプライチェーンの逼迫、金利上昇が当初の想定を大きく上回ったことを挙げた。
会見では言うまでもなく、洋上風力発電事業に関する質問が相次いだ。中西氏は、火消し役に徹し、ある弁明を繰り返したのだった。だが、エネルギー業界の関係者の多くは、今回の特損では終わらないとの見方だ。むしろじわじわと損失を計上する「特損地獄」に陥る可能性があるのだ。次ページでは、特損地獄に陥りかねない理由に加え、三菱商事の経営への影響を明らかにする。