総予測2025#68Photo by Yuji Nomura

2024年3月期に三井物産に純利益1位を譲った三菱商事は4月以降、川下ビジネスの改革を進めてきた。特集『総予測2025』の本稿では、中西勝也社長が総合商社1位から陥落した本音、そして社内で議論している次期中期経営計画の目標を明かす。(聞き手/ダイヤモンド編集部 猪股修平)

就任時から高い純利益を出したが
「次の成長」示し切れぬ未達成感

――期初に「2024年は基礎固め、助走の年だ」と発言していました。LNG(液化天然ガス)の権益拡大、日本KFCホールディングス株の売却、ローソンでのKDDIとの協業など効率的に稼ぐ姿勢が鮮明になった一年でした。

「基盤固め」は既存事業の強化を意味し、助走は間もなく利益貢献できる状態を指します。今できることと将来できることの仕込みを両立しなければ経営はできません。

 社長に就任した22年はロケットスタートと言える環境でした。新型コロナウイルス感染拡大による行動制限が解除され、あらゆる需要が増加しました。この追い風を捉えて、きちんと高い純利益を出してきました。ただ「次の成長は何か」と問われて、お示しし切れなかった未達成感は入り交じっています。

――今期はセグメントごとに明暗が分かれています。

 全体で見れば(利益の)取りこぼしは少ない。当社は事業の多様性が強みです。資源が強いとよくいわれますが、過去に赤字に陥った反省を踏まえて、バランスの良いポートフォリオの構築を意識しています。

 資源価格が上がれば資源ビジネスはグイっと上がりますが、「非市況系」ともいえるビジネスでは最低限このくらい稼げる、というラインを盤石にしたいです。なかなか、対外的に説明できていないのが悔やまれますが。

次ページでは、中西勝也社長が三井物産に純利益を追い抜かれたことに対する本音、成長戦略と純利益の今後、社内で議論している次期中期経営計画の目標を明かす。