今ではすっかり市民権を得ている「ひとりディズニー」。東京ディズニーリゾートの客層を分析すると、面白い発見がありました。ウォルト・ディズニーも予想していなかったであろう、この事態。なぜ日本では、ひとりディズニーが増え、定着したのでしょうか。「おひとり様」市場や「ソロ活」を狙う企業が打つべき施策とは?(明治大学経営学部兼任講師 中島 恵)

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ウォルト・ディズニーが生きていた頃
予想しなかったこと

 ウォルト・ディズニー(1901~1966年)は言わずもがな、ディズニーアニメの生みの親であり、テーマパークというコンセプトを考え、初めて実行した人物です。

「ひとりディズニー」拡大にウォルト・ディズニーもびっくり?背景に潜む「2つの格差」Photo:TPLP/gettyimages

 ウォルトには娘が2人いました。ある日、娘たちを遊園地に連れて行くと、子どもらは楽しそうなのに、親たちはベンチに座ってつまらなそうにしている光景を目の当たりにします。これが原体験となり、「家族みんなで一緒に楽しめるエンターテイメント」を志向したのです。

 ウォルトがディズニーランドのアイデアを思いついたのは、第二次世界大戦後の1947~48年頃。ウォルトの長女ダイアンの著書『私のパパ ウォルト・ディズニー』(講談社、2010年)によると、ウォルトは愛妻家で2人の娘を心から愛する“マイホームパパ”でした。

 ディズニーランドのコンセプトは、「ファミリー・エンターテイメント」です。ウォルトは、ひとりでディズニーランドに来る人が日本で多発するとは、夢にも思っていなかったことでしょう。

 なぜ日本では、ひとりディズニーが増え、定着したのでしょうか。