若者が望むのは
「どんな環境でも生きていける力」
00年代前半に生まれた現在の就活生は、08年のリーマン・ショック、11年の東日本大震災、そして高校~大学生活を襲った20年以降のコロナ禍など、それまでの社会常識が覆るような体験にさらされて育ってきています。
人はいつの時代も「安心・安全・安定」を求めるものであり、その担保の仕方や中身が大きく変わってきていることが、個人と企業の関係性の変化にも表れているのではないでしょうか。
かつては一つの企業で勤め上げる忠誠を尽くすことで、個人だけに留まらず、家族も含めた安心・安全・安定が保証される時代がありました。しかし、変化の激しいこの低成長時代では、大手企業でもこの先ずっと安心・安全・安定でいられるかは不確実です。
特に若者は持続可能な成長環境を求め、「社会がどう変わろうと生きていく力を身に付けること」を、ますます重視するようになっています。
そのような個人の意識の変化の中で、企業に求められるのは、働き手を主役にした経営の在り方です。人手不足が深刻化する今、これまでの一律的で画一的な採用手法や人事施策の在り方では、採用はもちろん、入社後の定着や活躍する人材の育成が難しくなっています。
多様なバックグラウンドを持つ個人に対し、“自分らしい働き方”のバリエーションをどれだけ用意できるかが、これからの選ばれる企業の必要条件になっていくでしょう。そして個人には、自分のキャリアの主導権を自らが握り、企業任せにせずにキャリアを考えていく姿勢が求められます。
これから就職活動をスタートする学生や社会に出ていこうという新社会人のお子さんを持つ保護者の皆さんは、ぜひお子さんとこれからのキャリアについて会話する時間を持ってもらえたらと思っています。
(リクルート就職みらい研究所所長 栗田貴祥)
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