
ドナルド・トランプ氏の世界で出世するには忠誠心が必要だ。昨年7月13日の土曜日、キャロライン・レビット氏(27)はそれを異例の形で示した。
レビット氏によると、米大統領選でトランプ陣営の広報を務めていた同氏は当時、生後3日の息子を病院から自宅に連れて帰ってきてテレビをつけると、ペンシルベニア州バトラーで行われていたトランプ氏の選挙集会が映し出された。
それは、暗殺を狙った男の弾丸がトランプ氏の耳をかすめ、運命を決する事件となった。レビット氏によると、同氏と夫はすぐに決断を下した。予定していた産休を取りやめ、仕事に復帰することにしたのだ。4日後、彼女は仕事に復帰していた。
この献身的な姿勢が、トランプ氏がレビット氏を史上最年少のホワイトハウス報道官に起用した理由の一つだが、それだけではない。
壇上に立つようになってから最初の2週間で、レビット氏は若さに見合わぬ熟練ぶりと上司の誇張を増幅させる才能を発揮した。トランプ氏は彼女を気に入っているようで、最近のホワイトハウスのイベントでは「スターが誕生した」とほめそやした。しかし、最初の政権で4人の報道官を起用した大統領の下で、それが続く保証はない。
レビット氏は頭の回転が速く、快活で力強く、メモや説明資料を参照せずにさまざまな話題に関する質問をさばいていく。いわゆる伝統的なレガシーメディア(多くのトランプ支持者にとって憎悪の対象)に対しては、毅然(きぜん)とした態度や露骨な軽蔑を見せるなどさまざまだ。
「特定もできないプログラムに基づく仮定の質問をしているのですか」。ある記者からの質問を、こう一蹴した。