このようにアウトプットといっても、単純に記憶をたどって思い出すこともあれば、何か新しいことを発想するようなアウトプットの脳の使い方もあり、いずれも忘れっぽさを改善するのに有効です。
ここでは私が好きなサウナを事例にあげましたが、人それぞれ自分の好みの場所でかまいません。自分はここだったらいいアイデアが出ると思う場所、お風呂、トイレ、キッチンでもいいです。大事なのはテレビやスマホなどの情報を遮断した環境です。
散歩やウォーキング、軽いジョギングをしているときに、ふといいアイデアが思い浮かぶという方もいると思います。実際、軽い有酸素運動は脳にも酸素が送られやすくなるので、海馬の体積が増えて脳にもいいといわれています。記憶力アップにも効果があります。
試験勉強などの暗記においても、私が推奨しているのは、暗記をするためだけの場所をつくるというものです。暗記をするときは必ずその場所でやると効果的です。
例えば家の中で、食事をする場所と、暗記する場所が一緒では効果が薄く、同じダイニングテーブルでも、いつもの食事の席とは違う反対側や隣に座るのはOKです。
ほんのわずかでも違う場所で暗記をするだけで、脳は別の場所という感覚になるので、暗記のための脳のスイッチが入り、非常に有効です。
そもそも記憶力というのは、人によって多少の差はあるものの、生まれつきの記憶力の差はそれほど大きくありません。
記憶力に関しても、脳科学や遺伝学の研究で、極端に大きな遺伝の差はなく、年齢もそれほど関係ないとされています。
人の顔と名前の記憶力がすごいといわれるのが、スナックのママさんや、ホテルのドアマンです。普段から人の顔と名前を覚える努力を意識的に行っているから覚えられるだけであって、彼らの記憶力が生まれつき高かったわけではないはずです。
普段から走る練習をしている人は、それだけ早く長く走れるようになるのと同じで、日ごろから脳を鍛えているかどうかで記憶力の差は生まれるのです。