生保・損保・代理店の正念場#13Photo by Akio Fujita

来店型保険ショップの雄、ほけんの窓口や保険クリニックを運営するアイリックコーポレーションの業績が上向き始めた。だが、訪問販売型の乗り合い代理店最大手のFPパートナーには、陰りが見えている。特集『生保・損保・代理店の正念場』(全31回)の#13では、乗り合い代理店の実態に迫る。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

過去最高の業績となった保険クリニック
来店型保険ショップは回復の兆し

 サプライズ決算――。保険クリニックの屋号で来店型保険ショップを全国展開するアイリックコーポレーションは、2024年6月期第2四半期決算(23年7~12月)の好業績について、そう表現する。

 アイリックには保険代理店事業に加え、フランチャイズなどを運営するソリューション事業やシステム販売事業などがあるが、どのセグメントも予想を大きく上回り、過去最高の業績をたたき出した。

 とりわけ主力の保険代理店事業は、コロナ禍によって来店客数が大幅に落ち込み苦しんできたが、明るい兆しが見え始めている。

 23年10月に、新潟県を地盤とする保険代理店ライフアシストをオリックス生命保険から買収したため、その分が上乗せされているとはいえ、過去最高の業績となったことは特筆に値するだろう。

 理由は大きく二つ。一つ目は、コロナ禍でも新規出店を続けてきたことだ。多くの保険ショップが出店を控える中、「他社が出店を控えたため、好条件の物件が見つかりやすかった」とアイリックの勝本竜二社長は話す。

 二つ目は、有名タレントを起用したテレビコマーシャルの大量投下だ。CMを打ったからといってすぐに来店客数が増えるほど甘くはないが、保険クリニックの認知度が大きく上昇。それと同時に展開したSNS広告の効果により、「ウェブ経由での予約が大幅に増えた」と勝本社長は言う。

 ただし、保険クリニックの各店舗では以前からショップ店頭で声を掛け、その場で来店を促す直接来店を積極的に展開してきたが、このルートでの来店客数については落ち込んだままだという。

 ショッピングモールなどにある保険ショップにふらりと立ち寄るような顧客層はすでに一巡したというのが、業界内での見方だ。

 次ページでは、来店型保険ショップの雄、ほけんの窓口の現状に加え、飛ぶ鳥を落とす勢いの訪問販売型の乗り合い代理店最大手のFPパートナーに陰りが見え始めた点について詳述する。