また、工事期間の長期化も影響した模様。23年Q4時点で25年に竣工が予定されていた新規供給物件24件のうち6棟で竣工予定時期が後ろ倒しになった。また、1棟は用地のまま売却、2棟が冷凍冷蔵設備を含む開発に変更となっている。

賃料弱含みも開発計画の足かせに

 首都圏の賃料見通しが弱含みであることも、デベロッパーの開発計画の足かせになっている。首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率は20年Q4の0.5%から、24年Q3(7~9月)には10.1%にまで上昇。10%を超えるのは10年Q4以来だった。実質賃料はQ4で4450円/坪と、22年Q3の最高値4550円/坪から2.2%の下落が予想される。

 本来、建築費の上昇分は賃料に転嫁されるが、空室を抱えた物件が多いエリアでは、オーナーがテナントを誘致するために賃料を調整せざるを得なくなっている。そのため設計の見直しによる竣工時期の遅れや、冷凍冷蔵倉庫への転換、転売を模索するといったケースも今後出てくると見られる。

 これにより、26年以降に予定されている新規供給についても25年と同様、現時点より減る可能性がある。1年間で新規供給予定が22%減少した25年の例を当てはめると、24年Q4時点で想定される26年の新規供給54.9万坪は、1年後の25年Q4時点で43.0万坪に減る。

 現時点でのCBREの予測では、首都圏の空室率は25年後半から低下基調となり、賃料は26年Q2に下げ止まって、その後は横ばいで推移する見込み。しかし、26年の新規供給が現時点での計画から減少すれば、空室率の低下ペースが速まり、賃料水準は26年後半に上向く可能性があるという。

図表1:首都圏大型マルチテナント型物流施設の新規供給予定の推移首都圏大型マルチテナント型物流施設の新規供給予定の推移
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図表2:工事原価指数(倉庫S造)工事原価指数(倉庫S造)
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