チキンの煙で自宅に消防車、食中毒で生死の境を……
――米国での生活のスタートはいかがでしたか。習慣の違いや慣れない環境で戸惑ったことなどは?
杉村 他国から来た人は企業や国からの派遣留学が多かったのですが、太郎さんは何の後ろ盾もない個人留学です。当然、頼る人もなく保証人もいないので、アパートを借りるところから全てを自分たちでやらなければならなりません。おかげで、さまざまなトラブルに鍛えられました(笑)。
やはり、日本人にはなかなか分からない米国人の価値観、留学生同士の考え方の違いで、日本の当たり前は世界では全く通じないことを痛感しました。
洗濯乾燥機が故障したので修理を頼んだら、修理後に水のホースが接続されていなかった、冷蔵庫が壊れたので新しいのを買ったら大きなサイズが届き、「注文品と入れ替えるまでこれを使ってて」と言ってアイランドキッチンのど真ん中に置いたまま帰ってしまった……と驚くことばかりでしたが、これらはまだ序の口です。慣れない生活環境で、困ったことが容赦なく起こります。
ある時は、歩き始めたばかりの娘が友人宅で転び、運悪くガラステーブルに顔面を打ち付けて流血事件となり救急車で運ばれたこともありました。
またある時は、自宅で照り焼きチキンを作っていたら換気扇が故障し、もの凄い煙でアパート中の火災報知器が一斉に鳴り出して消防車が数台来たこともありました。その他にも、レストランで頼んだレコメンデーションで食中毒を起こし、ER(緊急救命室)に運ばれて死にかけたり……。色々なことがありました。