支出を入力していくと、最終的にはすべての取引先、取引日、金額が記された「仕訳帳」ができあがる。電子申告であっても仕訳帳をプリントして7年間保管したほうが安心だ。「やよいの青色申告 オンライン」で、<税務調査の際に紙の帳簿を掲示できないと、場合によっては青色申告を取り消されることがあります>と注意書きがあったので、私は青色申告作成後にこれをプリントした。なんとA4用紙124枚もの量になった。
自営業だからといって
経費は簡単には盛れない
ちなみに「自営業者はなんでも経費にできる」とよく言われるが、事細かに確定申告を作成していると、それは難しいと感じる。前年との比較もあり、あまりにも突出した額があると目立つだろう。つまりそんなに簡単に“盛れない”ということだ。

だが盛れないけれども、きっちり確定申告をしたほうがリスクなく所得を下げられる。青色申告特別控除が受けられるからだ。記載方法や申告方法によって65万円、55万円、10万円と適用できる金額が変わるが、満額の65万円控除できるかが大きなポイント。
青色申告特別控除をすれば、フリーランスが加入することの多い国民健康保険料(国保料)にも差がつく。国保料の基準となる課税所得を出す際、青色申告特別控除を引いた金額が「所得」となり、その所得から差し引かれる控除は「基礎控除」のみ。扶養控除や生命保険料控除、医療費控除などは差し引くことができないので、もとの所得をどれだけ下げられるかが重要なのだ。
実際に国保料にどれほど差がつくのか、比べてみよう。
私の売り上げから経費を引いた「688万9216円」を基準として、青色申告を行わなかった場合、ここから住民税算出における基礎控除(43万円)を引くと、645万9216円。この場合、東京都のある区における年間国保料は40歳以上単身世帯で、なんと約「104万円」。しかし同条件で青色申告特別控除を満額適用して65万円を控除すると約「96万円」と、約8万円の減額になる。年収1000万円以下であれば、だいたい8万~10万円の差がつくとみられる。