いよいよ新年度。フレッシュな新入社員の受け入れ準備で活気づいている職場も多いことでしょう。ただ、上司の伝え方一つで、せっかく入社してきた新人が即刻退社を選んでしまうかもしれません。日本、中国とも100万部超、世界でシリーズ累計259万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一さんに、新入社員が職場に馴染みやすくなる「伝え方」を教えてもらいました。(構成/伊藤理子)

「新人なのに、愛想が足りないぞ!」
いじって言ったつもりが、退職代行に即連絡されるなんてことも
社会人になったばかりの新人の多くは、「配属先はどんな職場、どんな上司なんだろう?」とドキドキしているはずです。中には緊張のあまり顔がこわばり、なかなか笑顔が作れない人もいるようです。
しかし、そんな新人の気持ちを理解せず、「新人なのに、愛想がたりないぞ」などと無神経な言葉をかけてしまう上司世代が散見されます。上司としては、軽い気持ちで「ちょっといじっただけ」のつもりでも、新人からは「パワハラだ」「昭和かよ!」とネガティブに受け取られる可能性があります。
今の新人世代は、一昔前とは仕事やキャリアの考え方が大きく異なります。以前は、「石の上にも三年」との考えが強く、一度入社したらそう簡単には退職を選ばなかったと思います。しかし今は「退職代行サービス」を使って、いきなり辞めてしまう新入社員も少なくありません。
新人が思わず笑顔になる言葉とは?
緊張して笑顔になれなかっただけなのに、こんなふうに言われるなんて…後で退職代行について検索してみようかな、などと思われてしまうかもしれません。人手不足で超売り手市場と言われる今、若手はどの会社からも引く手あまたです。上司の不用意な一言で、「もっといい環境に移ろう」と退職のきっかけを与えてしまう恐れは十分あります。
とはいえ、恐る恐る接するのもよくありません。上司としては、新人の緊張を解いて早く笑顔になってもらいたい。ならば、例えばこんな伝え方が考えられます。
◎「新人の鈴木さんから笑顔で声をかけられたら、先輩たちはうれしくなっちゃうから、はやく職場になじめると思うよ」
これは、「相手の好きなこと」という伝え方の技術を使った言葉です。人は「こうなると嬉しい」と思うことを伝えられると、相手に対して好印象を持ちやすくなります。
「はやく職場になじめる」というのは、新人に取ってうれしいこと。「はやく職場になじめるようにアドバイスしてくれるいい上司だ」という印象になり、笑顔で声をかけることでなじみやすくなるならば、そうしたほうがいいな」と自発的に行動してもらえるようになります。
言いたいことは「愛想がたりないぞ」と全く同じ。しかし、伝え方を少し工夫するだけで、「パワハラ上司」という印象が「この上司は信頼できそうだ」にガラリと変わる可能性があるのです。