地元の野菜をサブスク販売
中小企業ならではのメリットも
第一倉庫として、19年1月に西ベンガル州コルカタ市郊外のシングールで、太陽光発電・蓄電小型定温倉庫(倉庫とバッテリー室の計200平米)を竣工。地元の野菜を集荷し、流通加工を行い、地元のスーパーでの販売とサブスクリプションを展開している。
第2弾として、北部のシリグリで24年4月に新倉庫を着工。約1800平米の平屋で水害による浸水対策として高床式を採用。第一倉庫と同様ソーラー発電設備を導入し、5℃、18℃、常温の3温度帯対応の倉庫となる。
新倉庫は今年12月に竣工予定で、地元の野菜のほか、「干し芋」の取り扱いを予定している。サツマイモを集荷し、12~13℃で熟成させて糖度を上げ、泥を落とした後、蒸してスライスし、空調で温度を制御しながら2ヵ月ほど熟成させる。干し芋は甘くておいしく、ヘルシーでもあり現地でも好評だったという。
第一倉庫では生鮮野菜を扱っていたが、干し芋は長期保存が可能で“在庫”できるメリットもある。将来的には至近のバグドグラ空港を利用し、デリー、ムンバイなど大都市で販売する構想もある。
もちろん、インドでは日本の常識が通用しないなどビジネス上の難しさもある。倉庫建設の高所作業でも、「ノーヘル、半ズボン、サンダルは当たり前。分からないことがあっても質問せずに自分流でやってしまう」(樋口氏)などコミュニケーションギャップも生じやすい。
「許容できることは許容する。日本人の常識との違いに対し、ストレスや葛藤を感じすぎるとうまくいかず、割り切りも必要。一方で、絶対に外せないことは耳にタコができるくらい、言って聞かせるべき」(同)と指摘する。
中小物流会社が海外で倉庫を建てることは一般的にはリスクと見られがちだが、「上場している大企業と違って、中小企業には時間的余裕があり、その間、ノウハウを蓄積できる。また、倉庫は長期のビジネスであり50年使用でき、製造業に比べ陳腐化しにくい。小さな失敗や1~2年の遅れに対してもある程度寛容でいられる。リスクは自分の会社がそれに耐えられるかどうかで決まり、耐えられるのであれば挑戦すべき。それを判断するのが経営だ」(同)と強調する。



